中国人日本渡航ビザの取得と日本旅行

2018-07-22

『爆買い』が一段落したと言われる中国人の日本旅行ですが、現在の日本旅行事情はどうなっているでしょうか。

4月19日観光庁より外国人旅行者の消費額レポートが発表されました。

1~3月期の旅行者支出額は

○訪日外国人旅行者消費額は9,679億円(前年同期比4.0%増
○訪日外国人1人当り旅行支出は14万8,066円(前年同期比8.5%減

この結果で中国人観光客の動向が大きく関係しているのは間違いないでしょう。

これとは別ですが、21日に外務省より、中国人に対するビザ発給要件の変更が発表されています。

この2つから現在のビザ事情と中国人訪日客の消費について考えてみたいと思います。

新、中国人訪日ビザ発給条件

4月21日付けの外務省発表によると中国人向けのビザ発給条件が緩和されることとなり、5月8日から施行されます。

これまでと今後の変更点を確認します。

旧観光ビザ

団体旅行…滞在期間15日以内、添乗員なしの自由行動は認められていない

個人旅行…

(1)個人観光一次ビザ(滞在期間:15日又は30日以内)

(2)沖縄県数次ビザ/東北三県数次ビザ(有効期限3年、1回の滞在期間30日以内)

個人旅行で1回目の訪日時に沖縄又は東北三県(岩手、宮城、福島)のいずれかの県に1泊以上する人対象に、数次ビザを発給。

対象者…
1)十分な経済力がある者とその家族
2)過去3年以内に日本への短期滞在での渡航歴があるもので、一定の経済力を有するものとその家族

(3)相当の高所得者用数次ビザ(有効期間5年,1回の滞在期間90日以内)

「相当の高所得を有する者とその家族」に対しては、1回目の訪日の際における特定の訪問地条件を設けない数次ビザを発給。

新観光ビザ(5月8日以降)

ビザ発給条件が緩和されています。

【これまで】と【5月8日から】

双方に「一定の」「十分な」「相当の」という3段階のランクが見えます。

具体的に評価基準が明示されていないためはっきりは言えませんが、

相当の高所得者 … 年間所得50万元以上
十分な経済力 …  年間所得20万元以上
一定の経済力 …  年間所得10万元以上

(参考:人民網日本語版15年6月3日

上の表から見ると、「十分な経済力」と「一定の経済力」に当てはまる人がワンランクずつ上がったような感じです。

ビザ 新要件 旧要件
一定の経済力 有効期間3年、1回の滞在は30日以内の数次 東北6県で1泊以上する 東北3県で1泊以上する、
且つ3年以内の渡航歴
十分な経済力 有効期間3年、1回の滞在は30日以内の数次 なし  東北3県で1泊以上する
相当の高所得者 有効期間5年、1回の滞在は90日以内の数次  なし なし

まとめると以上のようになり、要件が緩和されたことがわかります。

個人旅行者の実態

日本の外務省が取り扱う、ビザ発給条件は以上に御覧頂いたとおりです。

ただし、実態として条件とは符合しない状況があります。前述の改定要件を見る限りでは、個人旅行で旅行する場合、最低でも年間10万元の所得がないとビザ(数次ビザ)がとれないということになります。

10万元という額ですが、月で割ると8000元の収入が必要となり、この額は中国の平均所得よりずっと多い額です。
中国、高まる教育熱と平均給料からみる家庭事情

しかし、私の知り合いの中国人の中で、所得が5,000元にも満たない人でも日本へ個人旅行で行っている人がいます。これはどういうことかというと、銀行や旅行会社が協力してくれるのです。

例えば、旅行業者は代行でビザ申請する際、偽の銀行証明を作ってくれます。また、そもそも銀行も「今後いくら以上の積立をする、預ける等を約束することで銀行証明を偽造してくれる」ということがあります。留学の際に使われていた手段です。

もちろん、多くは正規の方法でビザを取っているのだと思いますが、こういう例もあります。

しかし、どちらにしても、日本としてはうれしいことでしょう。

訪日旅行客のデータ

続いては、観光庁19日発表の「訪日外国人消費動向調査」をもとに最近の傾向を見てみたいと思います。

昨年2016年は初めて年間2000万人に達しました。
今年もその勢いは続き、冒頭で書いたように今年の1-3月期の訪日外国人旅行者消費額は前年同期比4.0%増となりました。

一方、個人一人あたりの支出は14万8千円と前年同期比8.0%減です。この原因はやはり、中国人による「爆買い」の収束にあるのでしょうか。

平成29年度の1-3月期において、訪日旅行者数上位は以下の通りで、いずれも前年同期に比べ増加しています。

  1. 韓国(約171万3千人)
  2. 中国(約164万8千人)
  3. 台湾(約103万3千人)
  4. 香港(約49万千人)
  5. アメリカ(約29万2千人)
  6. タイ(約25万2千人)

ここで注目したいのは一人あたり旅行支出です。

  1. スペイン 24万8千円 (18.5%)
  2. オーストラリア 24万円 (-15.5%)
  3. 中国 22万5千円 (-14.9%)
  4. ロシア 19万6千円 (17.9%)

2位のオーストラリアと、3位の中国の一人あたりの支出が減少しています。オーストラリアの旅行者数はタイに続く第7位で14万人ですので、この2カ国(オーストラリアと中国)の支出が減ったことが、旅行者全体における一人あたりの支出額減少に直接つながったといえそうです。

しかし、面白いのが続いての表です。

これをみると各国の旅行者が何にお金を使ったかがわかります。国によって、特色がありますね。

宿泊料金 … オーストラリア、スペイン、フランス
飲食費  … スペイン、オーストラリア、シンガポール
交通費  … スペイン、フランス、オーストラリア
娯楽費  … ロシア、アメリカ、イタリア
買い物代 … 中国、香港、ロシア

一人あたりの支出が多い上位の国が各項目でランクインするのは当然ですが、『買い物代』で中国が入ってくるのはやはりといった感じですね。

どの国も総支出額の3分の1以下の割合で買い物にお金を使っていますが、中国は50%以上の値です。

確かに、以前のように一人何十万円も、何百万円も買うというような文字通りの爆買いはなくなっているのでしょうが、依然として買い物の比重は高いと言えそうです。

まとめ

確かに言われているように、中国人の爆買いは落ち着いています。しかし、同時にその収束を埋める勢いで訪日する中国人総数が増加しています。

これは5月にも改正されるビザ発給要件などや、観光立国としての魅力アピールなど、観光客を呼び込む対策をしている効果の現れだといえると思います。

今後もこのような明るい話題を多く聞きたいものです。

お読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

JUNP

2008年から中国で日本語教師をすること早10年。中国でできないツイッタ-始めました。よかったらフォローお願いします。

  • ブログランキング・にほんブログ村へ