『みんなの日本語』第3課・4課の難点、PPT&活動集教材
日本語教育で使われている『みんな日本語』(スリーエーネットワーク)を基にパワーポイント教材、教室活動教材を作って授業をしています。市販・オリジナル教材もほぼ同じ順序で文型・表現が導入されていますので、皆様に参考にしていただけると思います。

また、本記事では主に中国人に対して授業を行う際の難点も併せてご紹介いたします。
第3課の難しいポイント
第3課で学ぶ項目(文型・表現・単語)は主に以下の文型、表現です。
- ここは~です
- ~(物、人、所)はどこですか
- ~(物、人)は~(場所)です
- こちら、そちら、あちら
- ~(お国、会社、大学)はどちらですか
- どこの~ですか
- ~円
第2課と関連する所が多いため、時間がない場合2課と一緒に練習するところもあるかもしれませんね。しかし、まだ五十音がしっかりと定着していない学生もいることも忘れずに、急ぎつつもの丁寧さを忘れずに勧めたいところです。
「こちら・そちら・あちら」
第2課の「ここ・そこ・あそこ」でも難しいポイントとして書いたのですが、3つに区分するのは日本語の特徴です。中国語(等2区分けの言語)を使っている学習者からするとなかなか理解が難しいでしょう。
さらに、「こちら・そちら・あちら」、また「こっち・そっち・あっち」も出てくると場面に合わせた使い方まで理解する必要がでるため、より困難となります。
「どちら」の意味
「会社はどこですか/どちらですか」
この言葉から聞いている内容は2つ考えられます。
- 会社の場所
- 会社の名前
中国語ではそれぞれ明確にわけて質問されるので、どちらを聞いているのだろうということはありませんが、日本語では文脈から考える必要がありますので、話をしっかり理解する必要がります。
「どこの」
「これはどこの時計ですか」
こちらも同様に直訳すると意味の曖昧な文になります。日本語では
- メーカー名
- 生産国
どちらも尋ねることができますよね。前後の文脈をしっかり聞く必要があります。
金額の数字
年齢の数字以上にややこしいのがこちら金額です。年齢であればせいぜい100歳ぐらいで済むのであまり大きな数字が出てきません。金額であればそうもいかず、巨大な数字になります。
円
「いち」がつくのかつかないのか
1円・・・いち
10円・・・(☓いち)じゅう
100円・・・(☓いち)ひゃく
1000円・・・(△いっ)せん
10000円・・・いちまん
100000円・・・(☓いち)じゅうまん
1000000円・・・(☓いち)ひゃくまん
10000000円・・・(△いっ)せんまん
英語でもそれぞれ異なるので、数字の言い方は難しいものだと考えることもできますが、中国語話者にとっては頭の痛いところだと思います。中国語はオレンジで書いたものは「いち」がつきませんが、その他は全て「いち~」となり非常に規則的です。
これ以外にも下記のような厄介なポイントがあります。
- 百の読み方が数字によって「ひゃく・びゃく・ぴゃく」になる
- 千の読み方が数字によって「せん・ぜん」になる
アクセント
NHK日本語アクセントとして表記されているものをチェックすると下記のようになります。
1円(0)・・・い/ちえん(いち\えん)
2円(0)・・・に/えん(に\えん)
3円(0)・・・さ/んえん(さ\んえん)
4円(①)・・・よ\えん
5円(①)・・・ご\えん
6円(0)・・・ろ/くえん(ろく\えん)
7円(②)・・・なな\えん
8円(0)・・・は/ちえん(はち\えん)
9円(①)・・・きゅ\うえん
10円(0)・・・じゅ/うえん
左の( )の数字はアクセント記号です。右の「/・\」はアクセントが上がり下がりする場所です。また右( )のアクセントは2016年度版より新しく加えられたアクセントです。
2016年度版のアクセントを使えば10以外は統一されるので、わかりやすさは上がりますね。
第4課の難しいポイント
第4課で学ぶ項目(文型・表現・単語)は主に以下の文型、表現です。
- ~時~分です
- ~時から~時までです
- ~は~曜日です
- ~時に~ます
- 動詞(起きます・寝ます・終わります等)
- 動詞の過去形(~ました/~ませんでした)
「分」の読み方
「~時」の方は易しいのですが、「~分」は「ふん/ぷん」のように2種類に分かれるので覚えにくいです。
下一桁が「5」
→ふん
下一桁が「0」
→ぷん
その他は「頃」を使って表せば十分だと思います。
曜日の暗記
規則性がないので非常に覚えにくいです。
ちなみに中国語の場合は「曜日」部分は「星期・周・礼拜」等いろいろな言い方がありますが、肝心な「◯曜日」の「◯」は一から六の数字と、日曜日のみ「天」の字で表します。
日本語は呪文のように唱えて覚えるしかないと思います。ただ、日本人がよく使う「げっかーすいもくきんどーにち」は音、アクセントに変化が出てしまうのであまりおすすめはできません。
動作の日時
「~(に)~ました」
何も考えずに話していると気が付かないものですが、「~」の後ろに「に」が付くものと付かないものがあることに気が付きます。
- 3時に東京駅に行きました
- 昼(に)東京駅に行きました
- 今日(☓に)東京駅に行きました
- 7月(に)東京駅に行きました
- 1週間前(に)東京駅に行きました
- 先週(☓に)東京駅に行きました
- 先々週水曜日(に)東京駅に行きました
- 翌週東京駅に行きました
- 2003年(に)東京駅に行きました
「に」に「( )」がないものは「に」が必須、あるものはどちらでもよい「(☓に)」は付けられないという意味です。こうしてみると一言でいうと同じ日時でも、3種類にわけられることがわかります。
この説明としては一般的に過去のようになりますが、全て当てはまらないので困ります。
- 「に」をつけない:今日、来週、去年等、発話時を基準として、使われる日時
- 「に」がつくもの:3月、9日、7時等カレンダーや時計を見ると確認できるもの
- 「に」がついてもいいもの:翌日、前日等今以外のある時点との関係のもと表す時間や、夏休みなど一定の長い時間
「に」がつかないもののみしっかり言っておくと良いかと思います。
動詞と名詞の終わり
動詞
ーます、ーません、ーました、ーませんでした
名詞
ーです、ーじゃありません、ーでした、ーじゃありませんでした
ここで混用して使う間違いがよく見られます。
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第三課
内容物
- 第三課パワーポイント
- 教室活動プリント
※ プリント1は大人数ように配置しています。
※ プリント2の3,4は第4課用です。
第四課
内容物
- 第四課パワーポイント
- 教室活動プリント
※ プリント1の1,2は第3課用です。
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