『みんなの日本語』第5課・6課の難点、PPT&活動集教材
日本語教育で使われている『みんな日本語』(スリーエーネットワーク)を基にパワーポイント教材、教室活動教材を作って授業をしています。市販・オリジナル教材もほぼ同じ順序で文型・表現が導入されていますので、皆様に参考にしていただけると思います。

また、本記事では主に中国人に対して授業を行う際の難点も併せてご紹介いたします。
その他の課は以下のページからご覧いただけます。
第5課の難しいポイント
第5課で学ぶ項目(文型・表現・単語)は主に以下の文型、表現です。
- ~へ(場所)行きます・来ます・帰ります
- ~で(交通手段)行きます・来ます・帰ります
- ~と一緒に行きます・来ます・帰ります
- どこ(へ)も行きません
- ~月~日
日常でよく使う「行く・来る・帰る」が導入されたことで、表現の幅が広がります。一方で、助詞が増えることでややこしさも増大し、瞬発力が試されるようになります。
「行きます」と「来ます」
I’m coming!
「今くるよ!」英語を聞いたときに違和感を感じたことがある方も多いと思いますが、中国語も英語と同じです。聞き手を基準とした行き来での表現をします。(ただし、英語に比べ許容度は高いようで、どちらでも使えるシーンが多い気がします)
この習慣から、「先生、今来てもいいですか」のような誤文を作ってしまうことがあるので注意が必要です。日本語はあくまで話し手が基準です。
「帰ります」と「戻ります」
日本人の中でも明確に使い分けているように感じないこともありますが、明らかに違いが現れる場合もあります。
例えば学校で・・・
A:先生、山田くんはどこですか。
B:体調が悪いみたいで、もう、家に帰ったよ(☓戻ったよ)
基本的には「戻る」は最終的に落ち着く場所ではなく、中間地点の意味合いがありますよね。しかし、なかなかどちらがふさわしいかわからない場合も多いです。
助詞の「と」と「へ」
中国語には日本語の助詞に当たる言葉「を、へ」などがありません。「で」や「から」、「まで」は
公園で・・・在公园
箸で・・・用筷子
学校から・・・从学校
3時まで・・・到3点
それぞれ1つ目の文字が助詞の役割をしています。しかし、「を」や「へ/に」等はそれがないため、「へ/に」を忘れてしまうことがあります。また、中国語と同じように助詞を先に持ってきてしまう間違いもよく見られます。
☓私はスーパー行きます・・・我去超市
☓と友達一緒に・・・跟朋友一起
何月
なんげつ?
中国人が中国語の難しさを語るときに二言以内に出てくるのが「多音字」です。一文字で複数の読みがあるということです。例えば「行:xing,hang」、「强:qiang,jiang」です。しかし、中国語の多くは読み方が1つしかなく、おそらく全ての漢字に複数読み方のある日本語と比べこの点、簡単です。はるかに難しいのが日本語の漢字と言えるでしょう。
生:生きる、生える、生まれる、生(なま)、生じる、生粋、生命、芝生、生業、生憎
明:明日(みょうにち)、明朝(みんちょう)明暗、明らか、明るい、明太子
これに気がつくのが、以前「月曜日」として「げつ」を学んでいた何月「がつ」の言い方です。
訂正:すでに「~人(じん)」と「あの人(ひと)」で経験がありました。
何日
日にちの言い方は基本段階において日本語が嫌になるポイントの1つです。
いち、に、さん・・・と学んでいたのに、どうして「いちにち、ににち」じゃないの?数字の読み方は英語にも韓国語にも2種類ありますが、日本語の「ついたち、ふつか、みっか」は「ひとつ、ふたつ、みっつ」とも若干違いが有り、覚えにくいのです。
また、11日以降はなぜか14、20、24だけ特別な読み方です。読み方を覚えるだけで一苦労なので、アクセントは多目にみたいところです。
第6課の難しいポイント
第6課で学ぶ項目(文型・表現・単語)は主に以下の文型、表現です。
- 動詞
- ~で(場所)~ます
- 何も
- ~、それから~
- いっしょに~ませんか
- ~ましょう
更に日常生活で多出する表現を学びます。
助詞の「で」と「へ」
☓図書館で行きます
☓食堂へ食べます
助詞「で」と「へ」の前に来る名詞は場所だと覚えます。これしか覚えない学習者の場合、後ろに来る動詞を気にすることなく助詞を選択してしまい、上のような誤文が生まれます。後ろの方で学ぶ「~へ~に行く」これが出てきたときには混乱してしまうということがよくあります。しっかりと、
・へ/に+移動性の動詞
・で+動作/行動の動詞
覚えておく必要があります。
全否定は「も」では全肯定は?
A:昨日誰が教室へ行きましたか。
B:誰も行きませんでした。
A:じゃ今日は?
B:誰も行きました(皆行きました)
全て否定する時は「も」とおぼえたことにより、全肯定の場合も同じように言ってしまう間違いがあります。特に後に勉強する「何が好きですか」などを勉強したときによく聞く間違いです。
勧誘「(一緒に)~ませんか」
日本語では一般的に勧誘時に使いますが、もう一つの意味が考えられます。
- 勧誘
- 否定の確認
中国語では否定にしたことで勧誘にはなりません。「どうですか」に当たる言葉(怎么样?)を付けたり、勧誘の返答に使われる「~ましょう」の直訳の「吧」で表すことが多いです。
・~ませんか
・~ましょう
・~ましょうか
そのためこの3つの微妙な違いがわかりにくいのです。また、誘いを断る言い方も文化の違いから「すみません、ちょっと・・・」のような曖昧な言い方は少ないようです。
PPTと教室活動教材ダウンロード(無料)
日本語教育第五課及び第六課の授業で、あるいは授業準備の参考としてお使いいただけそうなオリジナル副教材を配布致します。ダウンロードは下記ボタンよりダウンロードしてお使いください。
第五課
内容物
- 第五課パワーポイント
- 教室活動プリント
第六課
内容物
- 第六課パワーポイント
- 教室活動プリント
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