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中国人に難しい日本語発音、清音を濁音で話す理由

日本に来ている中国人観光客が本来「ありがとう」と言うべきところを「ありがどう」と言っているのを聞いたことがある人はいませんか。日本語をよく知らないから不思議ではないと思う方もいれば、どうして濁音化するのか不思議に思った方もいらっしゃるでしょう。

実はこれにはちゃんとした理由があるのです。これは後ほどご説明したいと思いますが、日中両国の母国語である発音が関係しています。

中国語話者にとって難しい日本語の発音

言語を学ぶ際に最初に学ぶのが、文字と発音です。日本語を教える際も同様で、「あ行」の発音と文字からスタートし、「ん」までを最初のステップとして行います。

発音は母国語にないものである場合、聞き分けが困難ですね。どなたも経験があると思います。我々が中学校で習い始めた英語で「l」と「r」や「ア(staffとstuff等)」の音が多いなどがその例です。

中国語話者にとって難しい日本語の発音

中国語の中に似た音がないもの、混乱しやすいもの、似ているが大きくことなるものが以下の5つです。

  1. う段
  2. え段
  3. 促音(小さい「っ」のこと)
  4. 長音
  5. 清音濁音の聞き分け

これ以外にも「な行」と「ら行」の使い分けをしない地域があるために、どちらか一方に統一されてしまう発音もよく聴きます。「奈良県」が「ななけん」や「ららけん」といった具合です。これは東京弁で「ひ」が「し」になってしまうのと同じ理屈です(例:しおしがり、マントシシ)。聞き分けられないということは、発音ができないのですね。

以上5つあげましたが、今回は「5・清音濁音の聞き分け」に絞ってお話をしたいと思います。

濁音化しやすい間違いやすい単語

日本語学習の初期の練習では聞き取りや書き取りの練習をするかと思います。仮名を覚えたか、ちゃんと覚えたかを確認するためには効果的ですね。

しかし、基礎だから簡単ということはありません。ここで中国語話者にとって思わぬ落とし穴が、それが「清音と濁音」の聞き取り間違いです。

50音図で学ぶ発音は先程お話した地域性の問題をおいて、それほど大きな問題はありません。「う段」「え段」の問題を挙げましたが、こちらは少しおかしな発音になるだけで、聞き取り自体に大きな影響はないようです。

一方、大きな影響があるのが今回のテーマである「清音と濁音」です。正確には「清音の濁音化」です。例えば以下のような単語が間違えられやすいです。

濁音化しやすい初期の単語

    切手: きって → きっで
     弟: おとうと → おどうど
 お父さん: おとうさん → おどうさん
 お母さん: おかあさん → おがあさん
  自転車: じてんしゃ → じでんしゃ
ありがとう: ありがとう → ありがどう
わかります:わかります→わがります

このような初期で習う単語の中にも多く存在します。

話は多少それますが、更に言うと、1つ目にあげた「きって」が非常に難しいのは、「来て」、「聞いて」、「切手」、「キーで」、「木で」という具合に日本語で似た形が使い分けられているからです。

中国語話者が清音を濁音で発音してしまう理由

いよいよ本題である「清音を濁音化してしまう理由」のお話です。

日中の発音「濁音、清音、有気音、無気音」とは

 中国語の発音 

中国語には「有気音」と「無気音」というものがあります。

  • 有気音・・・頭が「p t k q ch c」で始まる音で、気(息)を伴う
  • 無気音・・・頭が「b d g j zh z」で始まる音で、気(息)はなし

有気音:破(pō) 她(tā) 咖(kā) 七(qī) 吃(chī) 刺(cì)など
無気音:播(bō)大(dà)咖(gā)級(jí)渣(zhā)自(zì)など

例えば、「破」は有気音なので「p → 息 → o」、「播」は無気音なので「b → o」となります。

 日本語の発音 

日本語はご存知のように「濁音」と「清音」という区分けです。声帯の揺れの有無で異なります。

  • 清音・・・濁らない音(あ~ん)
  • 濁音・・・が(ga)行、ざ(za)行、だ(da)行、ば(ba)行

並べて比較してみると共通点が見えてくると思います。濁音をローマ字で表記すると中国語の無気音と重なりそうだということです。

そこで、中国語話者の頭の中では日本語の濁音は「声帯の揺れ」という意識ではなく、「無気音」であるという認識になります。これは日本人が中国語を勉強する際も同じです。もちろん、これは間違いなのですが、双方にこの概念がないのでこのような理解になってしまいます。

そこで起こるのがちょっとした変化による誤解です。

ちょっと寄り道

か行、さ行、た行は子音を直接声帯を使って発音するだけで、が行、ざ行、だ行になります。しかし「は行」は異なります。歴史的に「は行」は「ふぁ行」や「ぱ行」であったため、その音(無声両唇破裂音や無声両唇摩擦音)を現在有音にして濁音としています。

無気音に近い音に変化する清音

基本的には濁音は頭子音が有音(声帯が揺れる)となりますが、これを中国語話者は近い発音の無気音であると捉えてしまう、ここまでお話しました。

では「ありがとう」、これがどうして「ありがどう」なのでしょうか。日本人は決して濁音で話していませんよね。あえて「ど」の音で発音すれば「ど」に聞こえると思います。

実は「ありがとう」と日本人が話す時に、「と」の音に若干の変化があり、中国語の無気音に非常に近づくのです。「無気音に聞こえた、では濁音だ」ということになるのですね。日本人としては声帯の揺れの有無で清濁を判断しているので聞き分けられるのですが、中国語話者は母語の影響が強く出ているのです。

正しい発音に直す方法はあるか

長年日本語を教えている中国人の先生に聞いてもやはり濁音に聞こえているようです。ということはなかなか聞き分けるのは難しいということです。

では、聞き取る方法はないのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。

単語を暗記するのです。知っている単語であれば、聞き取れます。また、自分で話す時はへんに変化をつけないで清音のまま話させるのがよいでしょう。中には「清音と濁音の間だ!」といって微妙な差を気にする人もいますが、我々日本人が聞いた場合、普通に「清音(有気音に近い音)」で発音してもらったほうがしっくりきます。

以上が説明となりますが、おわかりいただけましたでしょうか。ご覧頂きありがとうございました。

この記事を書いた人
JUNP

2008年から中国で日本語教師をしています。日本語教師のリアルな生活、中国で楽しく快適に暮らすアイディア、節約貯蓄術などを書いていきたいと思います。
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