中国驚きの贈収賄金額と6人の死刑判決

1月29日、中国の元国営企業の会長「頼小民」が収賄罪により死刑が執行されたということで日本でも報道されていました。日本人の感覚からすると収賄程度で死刑判決がくだされるなんてと驚きが多いのではないでしょうか。

29日に死刑が執行された「頼小民」の罪状は収賄罪、汚職罪、重婚罪の3つに及び、収賄額はこれまでに確認された過去最高額で約17億9000万元(約290億円)にもなります。この罪状が重いのか軽いのか、そして死刑に値するかは皆さん考えるところが違うと思います。

収賄による死刑判決は中国でもめったに無いことですが、実は中国共産党第十八次全国代表大会(通称「十八大」)が開かれてから少なくとも6人が収賄罪等により死刑判決が下っています。

「頼小民」桁違いの収賄額で死刑

死刑判決を受けてからわずか3週間で死刑執行されたのは整理回収等を担当する国有資産管理会社「中国華融資産管理」元会長、頼小民(58)です。

頼小民の略歴

百度百科より頼小民の主な職業遍歴です。

  • 1962年7月江西省瑞金生まれ
  • 1987年7月中国人民銀行計画資金部中央資金処副所長(94年所長)
  • 2003年4月中国銀行業監督管理委員会銀行監管二部副局長級幹部
  • 2012年9月中国華融資産管理有限公司董事長、党委書記就任

順調に出世を重ね、地位と名誉、そして十分なお金を得てきた人間の成れの果てが次です。

頼小民、驚愕の収賄額

死刑判決が下った収賄部分ですが公判の中でその金額が明らかになります。

🔵 不法に受け取った金品約17.88億元
🔵 共謀し会社の資金搾取2513万元

収賄は22回に分けて行われ、内3回は2億元、4億元、6億元、その他6回は4000万元以上受け取っています。合計は約18億元に及びます。本日のレートが1元16.22円ですから、290億を手にしていた計算になりますね。

ここまで私服を肥やす必要があるのか甚だ疑問ですが、自分では制止が効かなくなったのか、周りからの期待に応えたかったのか、私には想像もできません。

立件から死刑判決までの流れ

以下が転落人生の歴史です。

  • 2018年10月15日、重大な規律違反容疑で立件
  • 2018年11月7日、天津人民検察院二分院にて起訴、及び逮捕
  • 2019年2月、天津市第二中級人民法院に公訴。
  • 2020年8月、天津市第二中級人民法院第一審開廷
  • 2021年1月5日一審判決が下る。収賄罪:死刑、政治権利の剥奪、個人の全資産没収、汚職罪:懲役11年、個人資産200万元の没収、重婚罪:懲役1年。これを不服とし上訴。
  • 2021年1月21日天津市高級人民法院控訴を棄却、一審判決で確定、後最高人民法院にて批准。
  • 2021年1月29日天津第二中級法院にて死刑執行

一審の判決後、頼小民は上訴をするも棄却され、1審の判決で刑が確定しました。罪状は収賄罪、汚職罪、重婚罪の3つで、以下の判決で裁かれました。

🔵 収賄罪・・・死刑、政治権利の剥奪、個人の全資産没収
🔵 汚職罪・・・懲役11年、個人資産200万元の没収
🔵 重婚罪・・・懲役1年

収賄額が本件で問題とされたことがわかります。

中国収賄で死刑判決の6人の"トラ"

習近平国家主席が就任以来力を入れているのが、汚職の撲滅です。大きなキャンペーン(反腐敗運動)をはり大々的に取り組んできたテーマです。

2013年1月22日、18期中央紀委第二次全会の習近平国家主席の言葉です。

“老虎”“苍蝇”一起打!
「トラ」も「ハエ」も一緒にたたく

ここでの「トラ」は高級幹部、「ハエ」は下級幹部を表します。汚職を行い国家を乱すものは地位に関係なくゆるさないという強く、またキャッチーな言いまわしで反腐敗運動が始まりました。

その後の摘発は下記の過去記事で詳細をお話していますが、凄まじい数です。中国ではごく当たり前に汚職が行われていた(る?)のかもしれません。

十八大以降の収賄による死刑判決

中国共産党第十八次全国代表大会(通称「十八大」)が開かれてから少なくとも6人が収賄罪等により死刑判決が下っています。

ただし、判決によっては「死緩」という死刑執行猶予制度(2年)がつき、この間模範囚として過ごせば減刑措置がとられます。

趙黎平:内モンゴル自治区政協原副主席

2016年11月死刑判決、17年5月執行。この人物は判決の直接理由が収賄ではなく殺人にあり。殺人、収賄、銃刀法違反、弾薬罪、爆発物取締罰則で起訴され、このうち収賄罪は15年の懲役。

白恩培:雲南省委原書記

不動産開発、異動による不当利益、直接または妻による収賄により、合計約2.47億元。2016年死刑判決も「死緩」つき、2年の猶予期間のち無期徒刑に減刑、仮釈放。

朱明国:広東省政協原主席

2016年11月巨額の収賄罪により死刑判決(「死緩」つき)、2年の猶予満了後、政治権の剥奪、全財産の没収。収賄額1.41元と出本の不明な財産が9104万元が罪状。

邢雲:内モンゴル自治区人大常委会副主任

2019年12月死刑判決(「死緩」つき)。2年の死刑執行猶予満期後、無期徒刑に減刑及び仮釈放。本人及び、身内を通しての収賄金額は4.49億元。

趙正永:陝西省委原書記

2020年7月死刑判決(「死緩」つき)。2年の死刑執行猶予満期後、無期徒刑に減刑及び仮釈放。収賄額は7.17億元、そのうち2.9億元は未接取。

中国の汚職と死刑のまとめ

中国の法律は非常に厳格で死刑判決が出やすいことはよく知られています。しかし、贈収賄に関する死刑は執行まで至ることは多くないようです。一般的には2年の執行猶予である「死緩」が付与され、事案解明に協力し、模範囚として認められれば減刑の措置が取られます。

6人の死刑判決事例を取り上げましたが、1人は殺人が主要理由、その他は頼小民を除いて「死緩」つきです。

頼小民死刑囚に関しては収賄額が桁違いに多かったこともありますが、もう一つ習近平政権の行う反腐敗運動の見せしめに行われたという見方もあります。

先にご紹介しました私の公務員汚職に関する過去記事にも書いていますがとにかく膨大な数の公務員が毎年捕まっているのが実情です。経済発展の裏には闇があることがわかります。

とはいえ、この問題は中国に限ったことではなく我が国、日本にもあることでしょう。オリンピックの誘致に関して、モリカケ有名どころから我々の見えないさまざまな面で黒い手が動いていることと思います。清く正しい公務員はどれほど存在するのでしょうか

お読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人
JUNP

2008年から中国で日本語教師をしています。日本語教師のリアルな生活、中国で楽しく快適に暮らすアイディア、節約貯蓄術などを書いていきたいと思います。
 最近はガジェットやプログラミングにも手を出しています🎮